ねえ、知ってる?【下】
① 片思いの行く末
「意地悪くんとお泊まり」
よく考えてみると、自分はとんでもないことをしていると自覚した。
泣き疲れて寝てしまっていたから、大和くんの電話で起きるまで携帯を見ていなかった。
陽十香から『救世主送るから』とLINEが来ていたことにやっと気付いてお礼のLINEを入れておいた。
本当に大和くんは私の救世主だ。
私は大和くんを自分の部屋に招き入れた。
元々三人で住んでいた家に今は二人で住んでいるし、私は一人っ子なので大きい部屋を贅沢に使わせて貰っている。
部屋にはシングルベッドと学習机、タンスが置いてあるが、もう一人分の布団を敷いても十分なほどスペースはある。
「苗の匂いがする」
部屋に入ってすぐ大和くんがそう言った。
自分の部屋にお母さん以外が入るのは初めてだったので緊張する。
「は、恥ずかしいからあんまり見ないでね・・・。あ、どこでも座ってね」