ねえ、知ってる?【下】
すぐに三十分が経った。
あと雅暉さんと同じ空間にいれるのも、半時間で終わってしまう。
本当は前と変わらずに話したい。
雅暉さんに純粋にドキドキしたい。
お客さんの入りも落ち着いた頃、私と空さんも厨房に入った。
「今日、なんか、どうしたんすか?」
「え、何が?」
「なんか最近ずっとそうだったけど、今日の雅暉さんは一段と変っす」
厨房に入ってすぐ、空さんがそう言ったので焦った。
もし私が告白したことがバレてしまったらどうしよう、と思い高鳴る胸を押さえた。
ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
それにしても、空さんはよく周りのことが見えている。