ねえ、知ってる?【下】



「・・・・・・・・・そりゃ好きな人には優しくしたいし、優しいと思われたいよ」


 助手席から見た空さんの表情が悲しすぎて目を逸らしてしまった。


 そこからは海に着くまで静かだった。


 空さんもきっと自分のことを考えているのだろう。


 私をここに連れて来てくれた意味はあまりわからない。


 でもきっと、雅暉さんの状況を知っていてもたってもいられなくなったのだ。


 その気持ちは私も同じだ。


 今から美舟さんの顔を見ることになるのが少し憂鬱だった。


 雅暉さんと、その雅暉さんが今も思っている美舟さんと話しているところなんて見たくない。


 どんな内容なのかはわからないけど、私にとって良い予感はしない。




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