ねえ、知ってる?【下】



「なんで雅暉さんは幸せになろうとしないんですか」


「してるよ? 俺にとって、店は本当に大切なものだし、それを守っていくことだって幸せと言えるじゃん?」


「なんでもっとずるくなってくれないんだよ。なんで自分の気持ちに素直にならないんだよ・・・・・・! 苗ちゃんのこと、好きになりかけてるんだろ!!」


 空さんの口調にも、内容にも驚いた。


「そ、空さん・・・・・・?!」


 雅暉さんが私のことを好きになりかけてる・・・?


「苗ちゃんのことは一人の従業員としても、人としても大好きだよ」


「え・・・・・・?!」


「でも俺はもうちゃんと生きるって決めたから、付き合ったりはしないよ。苗ちゃんが俺を二年を待つ必要はないしね」


「そんな・・・・・・・・・」


 空さんの気持ちを知っているから、どう答えたら良いのかわからなかった。


 雅暉さんがそんなことを考えてくれているのは嬉しかった。


 
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