ねえ、知ってる?【下】
「はあーーーーー。もう良いよ。もし二人がくっついてくれたら、俺も雅暉さんのこと諦められるんじゃないかと思ってたのにな。まあ、もう良いよ。美舟さんってライバルが一人いなくなったと思っておきます。それに二年ってめちゃめちゃ長いからね! 苗ちゃんも待っててくれないっすからね!! 苗ちゃん、もう帰ろう!!!」
「え、あ、あの、空さん・・・!?」
私は空さんに手を引っ張られてその場を後にした。
雅暉さんの顔は見えなかった。
「色々ごめんね」
「私は、もう、大丈夫です・・・・・・」
「俺、なんであんなこと言っちゃったんだろー・・・・・・。しかも雅暉さん気付いてたらしいしね」
何も返せなかった。
はっきりと言われていた訳ではないけど、『ごめん』と言われていた。
目の前であんな会話が始まると思わなかったので、まだ色々と実感がわかない。
「俺、本当に自分の下心なしに、苗ちゃんには雅暉さんと幸せになって欲しいと思ってたよ。苗ちゃんの前だと、雅暉さんいつもより優しく笑う気がするから。・・・・・・・・・ごめん、すぐ家まで送るね」