ねえ、知ってる?【下】
そんな人とデートが出来ていることがとても嬉しかった。
手を繋ぎたいな、と思った。
私に歩幅を合わせて歩いてくれている大和くんとたまに肩が触れそうになる。
その度にもっと触れたくなった。
自分にこんな感情があったことが少し恥ずかしい。
「苗、水族館で何みたい?」
「ええっ!??! あ・・・・・・オオサンショウウオ」
「え? 何それ」
笑いながら顔を覗いてきた大和くんに思わずビクッと反応してしまった。
急に顔を見られるとドキドキしてしまう。
「えっとね、なんか深海魚っぽいやつだよ。可愛いよ」
反射的に目を逸らして答えた。
「なんでこっち見ないの?」
「え!? そんなことないよ」