ねえ、知ってる?【下】
中に入ると、たくさんのカップルが見えた。
自分もその中の一組として見られているのかもしれないと思うと、不思議な気持ちになった。
「あっちから行こ。ん」
「あっ・・・」
「なに? 今繋がなかったらもう手繋がない」
「・・・・・・! うん」
私は出された手を掴んだ。
手が触れるだけでドキドキした。
大和くんの手は、ぶっきらぼうな口調とは違って優しかった。
私たちは水族館を思う存分に楽しんだ。
入り口からすぐのところにオオサンショウオがいて、初めて見たという大和くんは嬉しそうな顔をしていた。