ねえ、知ってる?【下】



 私もそんな大和くんを見られて嬉しかった。


 ずっと手は繋がれたままだった。


 この優しい手をずっと握っていたいと思った。


 ずっとずっと、大和くんと一緒にいたい。


 一通り館内を回ると、大和くんがカフェに行こうと提案してくれた。


 ちょうど小腹が空いて休憩したいな、と思った時だったので同じ事を考えていたことが嬉しかった。


 一緒にいるととても楽だなあ・・・。


「苗、ソフトクリームの他にもゼリーもあるらしい。見て」


「わ、ほんとだ~!」


 カフェの前に行くと、写真付きのメニューが置いてあった。


「一つずつ頼んでわけようか」


「うん!」


 私たちは名物のソフトクリームとゼリー、そしてソーダを二つ頼んだ。


 その時に水族館へ来て初めて繋いでいた手を離した。

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