【短】アステリズムの夜
今までもあの二人は、私の知らないところであんなことをしていたのだろうか。
そりゃそうか。あの様子を見るに、今日出来上がったばかりの関係ではない。
ふつふつと込み上げてくる怒りをどこにぶつけたら良いのかわからず、私はひたすら走った。
通学には自転車を使っているが、今日は学校に置いてきた。
自分の足で思い切り走っている間は余計なことを考えなくてすむ。
冬の冷たい空気が頬を刺しても、スカートが大きく翻っても、走るのをやめたくなかった。
そうしていないと、吐き出しどころのない感情は、自分の中に溜まっていく一方だ。
今のままでは、家族にも何事かと心配されてしまう。そう思うと帰る気になれない。
そうやってがむしゃらに走っているうちに、気が付けばいつもは通らない団地の中へと遠回りしていた。