私のサヨナラを君に
こうして君に手紙を書くのは、初めてですね。

驚くかもしれませんが、僕自身こんなことを思い立った自分に驚いています。
手紙に文字を書き入れるなんて小学生の頃、20年後の自分に手紙を出した時以来かもしれません。

君と出会ってから今日まで、どのくらいの時間が経ったのでしょう。
一ヶ月くらいだったようにも、一年くらいだったようにも、もっともっと長かったようにも思います。

なぜだか僕は、あの日始まった日常は、終わることがないものだと信じていました。
君との日々が永遠に続くのだと、思い込んでいました。

そのせいで、たくさんのことを見落としてきたのだろうと思います。
例えば、通学路に生えていた花や、鞄を持ち直す仕草や、無意識に繰り返した口癖。

その時にしか触れなかったもの。
そしてすでに失われてしまったもの。

今それを、最後に君と、一つ一つ思い出したいと思うんです。

だから僕に、君のサヨナラをください。
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