ミルクティー色のキミ。


でも、

彼の絶対浮気なんかしないよの言葉を信じた自分のほうが大馬鹿もんだわ。


思い出しただけでむかむかしてきた。


ごくごく、と。五杯目のビールを飲み干す。



―――――



「優しい優しい賢人くんごちそーさまでしたぁ」


えへへ、とあたしに似合わなすぎる語尾をつけて賢人に深く頭を下げる。




「はーいはい。ゆずきが失恋するたんびに俺の財布から諭吉さんがお金が消えてく」

「これから何枚の諭吉が消えてくんだろうね~」


真理は彼氏のお迎えがあり、先に帰ってしまって賢人と二人で飲んで喋って気づいたら日付変わっていた。残り1本であろう終電に間に合わせるために飲み屋帰りの若者が駅に向かって走っていくのを横目にあたしたちはその流れと逆方向に進んでいく。




アルコールが全身に回って多幸感。


あー。幸せ。

今だけ何もかも忘れられる。



気分良くなってつい鼻歌を口ずさむ。

久々にこんなに飲んだからか、足元が定まらなくバランスを崩し。



「あっ、」


やばい。転ぶ。と反射的に目を瞑る。



もう地面についてもおかしくないのに痛くも痒くもない。




「あっぶね…」



あれ、賢人の声がやけに近く聞こえる。




目を開けると両肩を掴まれ、
賢人の腕の中にすっぽりと収まる形になってた。




これは後ろからぎゅー状態。



一瞬、思考停止。



しばらくしてあたしの口から出た言葉は。


「……こ、この、へ、変態!!」





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