ミルクティー色のキミ。
音を辿るとさっき踏み潰して形の崩れたショルダーバッグ。
携帯を取り出すと鳴り止んだ。画面は割れていないことにほっとして着信相手を確認すると派遣会社から8件着信。
---何かあった?…疑問に思い、かけ直そうとすると再び携帯が鳴ったので応答ボタンを押して耳に当てる。
「もしもし」
「あ、安藤さん?もしかして寝てました?」
電話口で優しく問いかけてくる男性は派遣会社で働き始めてからいつもお世話になってる社員さん。
「は、はい……すみません。寝てました」
「何度電話しても出なかったから生きてて安心した。何かあったのかと心配してたんだよ」
失恋したての乙女にそんな優しい言葉をかけないでおくれ………不覚にもときめいてしまったじゃないか。