嘘つきな僕ら【完】
高校生になってからこのことばかり。





「夏樹には、好きな人いんじゃん。あたしにも好きな人いるし。それにあたしらはただの幼なじみ。家が近くて幼稚園からのただの幼なじみ」




ただの、ところを強く主張する。



好きな女いる男が好きでもない女襲うわけないでしょ。

それにあたしらは ただの幼なじみ。


それ以上はない。




『ただの』幼なじみ止まり。





たまたま夏樹が四つ隣に引っ越してきて

たまたま同じ歳でたまたま仲良くなって

たまたま、そばにいたからあたしは夏樹のこと好きになった。



けど夏樹が好きな人出来たといった3年前に恋愛感情は捨てたんだ。


もう蘇らないようにあたしは『嘘』をついて否定してきた。




「夏樹に恋愛感情なんて一切抱いたことないから安心しやがれ!」


今日もまた君に、嘘をつく。


手元にあった枕を夏樹に投げつけるとばふっと顔面に命中した。












「俺もお前みたいなやつに恋愛感情なんてねーよ」






んなの知ってるわぼけ。





そんなはっきり言われて傷つくでしょ、と乙女なこと言えたもんじゃない。




幼なじみというのを利用してこうやってそばにいられることだけでもいいの。






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