医者嫌いの彼女
「…はぁ。」

思わずため息が漏れる。

「ま、今日からは医者の彼女として、
自分の体調にはしっかり気を使ってもらいますよ?」

そういうと、一段と顔を赤くする。

「…とりあえず、今日は風呂入って寝ろ」

亜妃「えっ!…きょ…今日泊まるんですか?」

「何、嫌なの⁇」

亜妃「そ、そうじゃなくて…着替え…。」

自分の部屋に行き、スウェットと
亜妃の下着を持っていく。

「ん。」

亜妃「…え、なんで?」

「…お前の忘れもん。」

亜妃「…すみません…」

そう言って情けなさそうな顔をする。
…気にしなくていいのに。

「いいから入ってこい」

とりあえず、風呂に連れて行く。

しばらくしてお風呂から上がった亜妃を
部屋に連れて行き、寝かせる。

すると、部屋から咳が聞こえてくる。

「…大丈夫か?」

亜妃「…っ…コホッ…あ、すみません…」

「いや。いい…薬のんどくか?」

頷くので薬を準備し、吸入させる。

幸い軽い発作で、充分に薬も吸えて
咳もすぐに落ち着いた。

今日言おうか迷っていたが、
やっぱりバイトの事も言うことにする。

「…なぁ。バイト、いつもあんなに
遅くまで働くのか?」

亜妃「いえ…次の日が休みとか、
1限が休みの時とかだけです」

俺が聞くと、言いにくそうに答える。

「…働くなとは言わないけど、
身体壊したら元も子もないからな?」

亜妃「…きをつけます…」

ここは主治医として、しっかり言って
おかなければならない。

再度釘をさして、亜妃を寝かせる。
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