医者嫌いの彼女
ーそれから2週間後の土曜日ー

いつもどおり仕事を終えて家に帰る。
季節はそろそろ冬になろうかというころ。
夜はさすがに冷えるな…
時刻は20:00。思ったより遅くなった…

早く部屋に入ろうと急ぎ足でマンションの
エントランスを抜けようとするが、
そこで声を掛けられる。 

亜妃「か…和弥さん!」

この声は…

「亜妃?…お前、何してんの。こんな所で…」

まさか亜妃から家に来るなんて思わなくて、
驚きを隠せないが、とりあえず寒いし部屋に通す。

リビングのソファに座らせ、コーヒーを
入れながら尋ねる。

「いつから居た?寒かったろ…
連絡してくれたら良かったのに」

亜妃「お、驚かせたくて…ゴホッ」

そう言って軽い咳をする亜妃。

「喘息か⁇苦しくない⁇」

亜妃「だいじょーぶ。ちょっと風邪気味なだけ。」

風邪か…。いや、そうじゃなくて。

「だったら余計あんなとこで待つなよ」

亜妃「…ん。ごめん…」

でも亜妃から来るって事は何かあるのか?
ボストンバックも持ってるし…

「で…今日は急にどうした?」

亜妃「うーん。なんか会いたくなっちゃって…」

…可愛い事言ってくれるじゃねーか。

「お前からそう言われるのは…珍しいな。」

可愛いとは思っていても口にするのをためらい、
「珍しい」なんて言葉になってしまう。

亜妃「…そう…かな?」

「飯は?」

亜妃「…まだ、です」

だったら…

「家なんもないし、食い行くか」

亜妃「…うん。そだね。」

そういう亜妃の様子がやっぱりおかしい。
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