医者嫌いの彼女

不安1

季節は流れて春、新生活の始まり。

研修医のローテーションや新人スタッフの
指導などあり、バタバタしていた。

亜妃は喘息が落ち着いている事と、一緒に
住んでいる事を理由に、2か月に1回薬を貰いに
くる程度。診察も俺だったり常田先生だったり、
ほかの先生だったりバラバラ。
簡単な診察だけならパニックを起こす事もなく、
受けられるようにもなったし、発作自体も
落ち着いていると油断していた。

仕事の忙しさにかまけて亜妃をちゃんと
見ていなかったんだ…。




ある日、出張先で桐島病院の院長と一緒になった。
ここの院長は研修医時代の学会で話して以来、
気に入ってくれて、たまに会うと、
食事に誘ってくれる。
今日は断って帰るつもりだったが、
勢いに押されてついて行く。

この院長、話だすと話が止まらない。

時間をみて亜妃に連絡を、と思うが
中々抜けるタイミングがなく、
結局そのまま帰ってきてしまった。
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