医者嫌いの彼女
その日は一日中バタバタとしていて諸々の
仕事が終わったのは夜10時。

また遅くなったな…
亜妃に申し訳なさを感じつつ、帰る準備をする。
すると一件のメッセージが。

…亜妃からだ、珍しいな。
そう思って開くと、

"ご飯炊き忘れちゃったので、食べてきてください。"

…珍しい。それは良いとしても、
自分は夜ご飯どうしたんだよ?
まさか食べてないとか…?

何となく嫌な予感がして亜紀に返信を打つ。

"亜妃はもう食べたの?"

既読にもならないし、返信もない。
寝ちゃったのか?怒ってんのか?
いろんな事を考えながらも、とりあえず家に
帰ることにした。

「ただいま」と声を掛けても返事はない。
部屋に行き亜妃に声を掛ける。

「亜妃、ごはんどうし…っ‼︎あき⁉︎」

亜妃「…っヒッヒッ…ヒュー…」

明らかに呼吸がおかしい…発作だ。
時間が長くなってるのか呼吸が浅い。

「亜妃‼︎しっかりしろ!薬…ない⁉︎
なんで…ちょ、すぐ病院行こうな。」

とりあえず薬を吸わせようとするが、
残り回数が0になっている。

…どういう事だ?
前診察に来た時は充分に残っていたはず。

急いで慶太に連絡を入れるとまだ病院に
いるらしく、外で待って居てくれるというので、
急いで病院に連れて行く。

亜妃「…ヒュー…ヒッ…」

病院に着くと慶太が居た。

「慶太!ちょ、コイツ頼む。発作で呼吸が…」

慶太「なんでこんな事に⁉︎薬飲んでないのか⁇」

…わからない。

「いや…残薬が…なくなってた」

慶太「はぁ⁉︎どういう…いや。とりあえず
このままじゃまずい。すぐに処置しよう。」

処置に取り掛かる。急いでルートをとり、
身体にはモニターをつけ、口には酸素マスク。

薬を入れても、酸素投与をしても、
以前呼吸は浅く、酸素の戻りも悪い。

慶太「呼吸怪しいな…酸素の上がりも悪い。
挿管準備‼︎鎮静かけて」

慶太が処置をするのを遠くから眺める事しか
出来なかった。
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