医者嫌いの彼女

病院を後にし、京介とも別れる。
一人になり今日の事、亜妃に何と言おうか考える。

分かったことはあの二人が親子だったと言うこと。
ただ、怒鳴られていた原因はなんだ…？
亜妃はなぜあれほど追い詰められ、家を出て行かなければ
ならなかったのか。

結局は亜妃に聞くしかないってことか…。


ー翌日ー
病院へ向かう。

「お疲れ様です、昨日はすみません。」

常田「突然休むなんて珍しいな。
しかも春川さんの転院の日に」

「すみません、ちょっと野暮用ができまして。
それに、今はお互い頭を冷やす必要があると
いいますか…」

常田「そうか？彼女は、迎えに来たのも、
診察もお前じゃなくて不安そうだったがな。」

「自業自得ですよ。体調悪いのに自分から
出て行くからこんなことになるんです」

常田「珍しく怒っているんだな」

「正直、怒りたくもなりますよ。
あいつにも、自分自身にも。」

一緒に帰っていればこんなことにはならなかった。
あいつの気持ちを汲んだつもりが最悪の結果を
招くことになったこと。
腹が立って仕方がない。

常田「…解決はしそうなのか？」

「まだ何とも…」

常田「彼女の為にも話はちゃんと聞いてやれ。」

「はい。」

話を邪魔されない様に仕事を終えた後に
亜妃の病室へと向かう。

「…少し話せるか？」

静かに頷く亜妃。

「春川先生に会って来た。」

そう言うと一瞬で顔色が変わる。
驚きなのか、恐怖なのか。

「お前の…父親なんだな。」

この言葉には明らかに驚いた様子。
表情にも、声にも動揺が伺える。

亜妃「あ…あの人が、認めたの？」

やはり、親子関係にあることを口止めされて
いたかのような言い方。
亜妃があの人に対して怯え、堅く口を閉ざして
いたのもここに原因があることは推測出来る。

和弥「…認めた。」