医者嫌いの彼女
仕事が終わり、着替えを済ませてから処置室へ向かうが、まだ寝ている。
よく寝るなぁ…それだけ体力が落ちているのだろう。
昨日も寝れてないみたいだったし、少しでも
寝れるなら寝てたほうが良いとは思うが、
あとは家で寝てもらおう。

「…起きろ。おい、おい、起きろ。」

亜妃「んっ…」

やっと目を開けるが、焦点が合っていないのか、
しばらく沈黙。

反応遅いなぁ…寝ぼけてんのか?
顔は…まぁ、朝よりマシになってるか。

亜妃「…わっ‼︎」

「…反応鈍っ。帰るぞ、送るから。」

亜妃「えっ…あ、はい。すみません。お願いします…」

「帰る前に、熱だけ測って。」

そう言って計らせると、37.6℃。

…だいぶ良いな。

「うん。まぁ、大丈夫だろ。」

帰る準備をさせ、病院を出ると、ちょうど
同じ時間に帰宅しようとしているスタッフが
何人かいた。

その中に正隆の姿を見つける。

正隆「あれ!亜妃ちゃんっ⁉︎何でここに…」

俺より先に亜妃の存在に気づく正隆。
すぐに俺にも気づいたようで、俺と亜妃を
見比べながらやや驚いたように言う。

正隆「え、ちょっ…。もしかして…そういうこと⁇」

そういうことって…どういう事だと思ってるんだよ。

「…ただの患者だ。」

正隆「あ、患者ね。でも亜妃ちゃん病院…
嫌いじゃなかったけ?行くの相当嫌がるって
聞いた気がしたけど…もしかしてさ…」
少しだけ笑みを浮かべ冷やかし気味の雰囲気を醸し出す。
何か良からぬ事を言おうとしているか。
とりあえず話を遮る。

「…だから、俺が無理やり連れてきた。」
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