医者嫌いの彼女
吸入が終わると寝てしまった亜妃。
点滴が終わったら針を抜くように看護師に
頼んで仕事に戻る。

亜妃は特に発作も起きる事なく、無事朝を迎えた。

順番に回診してまわり、あとは亜妃だけか。

「入るぞ。」

ノックをして、念のため声をかけて入る。
そこにいたのは新人のナース。
田中と仲が良いからか、こいつもなかなか
鬱陶しい存在ではある。

「熱とバイタルは問題ない?」

看護師「はい、正常値内です。」

その言葉を聞いて亜妃の方に向き合う。

「気分どうだ?…だいぶ顔色もいいな。」

目を合わせようとしない亜妃。

「…どうした?具合悪いか?」

亜妃「あっ…と。いえ、もう大丈夫…です。」

怯えてんのか?

何となく気付く。
俺の後ろにいる看護師の視線。

まだダメか…。

「検温おわったなら、もういいよ」

そう言って看護師に出て行ってもらう。
看護師がいなくなるとため息をつく亜妃。

「…大丈夫か?」

亜妃「…あ。はい、大丈夫です」

やっと普通の声に戻ったか。

「もうすぐ仕事終わるから、帰る準備しとけな。」

それだけ言って、残りの仕事を片付けに行く。
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