医者嫌いの彼女
「バイトは?夜遅くまでとか働いてないだろうな?
不規則な生活も喘息を悪化させるからな。」

亜妃「…はい。」

少し間があってからの返事。


…働く気だな。


亜妃「えっ?何ですか?」

おっと、心の声が漏れてたらしい。

「…いや。…無理はしないように。」

最初に検査してからしばらく時間も空いてるし、
採血と呼吸機能検査だけする事にする。

「とりあえず、今日は採血と、
呼吸の検査するから。」

亜妃「えっ…」

採血という言葉を聞いてわかりやすく固まる。

「すぐ終わるから。」

亜妃「…やらなきゃだめですか?」

「しなくて良いことをしたりはしない。」

亜妃「……。」

まだ採血する決心がつかない様子。

「先に呼吸の方するか?」

頷くので検査室に連れて行く。

これはすんなり終わる。
診察室に戻り、採血セットをみて
だんだん涙目になる亜紀。

「手出して。」

首を振る。

「子供じゃないんだから。」

そういうと、手を出してきた。

「怖いんなら目瞑ってろ」

ギュッと目を瞑る亜妃を横目に腕に針を刺す。

「フラフラする感じとかない?」

そう聞くと、目を瞑ったまま頷く。

「はい、OK。終わり、ちょっと抑えてて」

そう言って検体をもって出ると、常田さんがいる。

「常田さん、採血セット助かりました。
ありがとうございます。」

常田「どういたしまして。あ、それ貰いますよ」

検体を常田さんにお願いし、診察室へ戻る。

「結果は次来た時に言うから。
今日は終わり。帰って良いよ」

亜妃「ありがとうございました…」

そう言って亜妃が診察室から出ていくのを見送る。

こないだの慶太や常田先生の言葉を思い出し、
このまま見逃して良いものなのか、悩んでいた。
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