二人
その女の人からたくさん話を聞いた。
女の子の名前は、城崎 愛。
盲目の少女で、言葉も発せないらしい。
女の人は、垣野 琴江。
女の子の家のお手伝いさんということだ。
その女の子の父親は、あの有名私立、城崎学院の校長だという。
女の子はそこの特別援助クラスに所属しているらしい。
「迷惑かけちゃったんで、愛さん、家までおぶって行きます」
「うーんそうね、あなたも着替えたほうが風邪引かないし、一さまも今日はいないし」
「えっ!!いや、そういうつもりじゃ…」
「いいのいいの。あなたがこの娘を助けてくれなかったら、今頃どうなっていたことやら…。じゃあみなさんありがとうね。気をつけて帰って」
垣野さんは他の連中にそう言って、どんどん歩いていく。
俺は仕方なく、京たちと別れ、垣野さんについていった。