二人
愛さんをおぶりながら、垣野さんについて行くと、大きくて立派な門の家の前に来た。
表札には『城崎』とある。
しかし垣野さんはそこを通り過ぎ、路地裏に入っていった。
「えっ…ちょっと垣野さん!!こっちじゃないんすか?」
「ああ。表門からは私たちお手伝いは入れないことになっててね、代わりにこの裏門を使うの」
そう垣野さんは言って裏門の鍵をカードと指紋で開けた。
裏門と言えども立派だ。
「さあ入って。一さまは研究会があって家を開けておられるの。だからゆっくりしてっても平気よ」
「いたらダメなんですか…?」
「一さまは、あなたみたいな不良に見える人は、切り捨てる主義なの。例えそれが格好だけでもね」
俺は裏門から家の中に入っていく。
入るとそこにはロッカーがたくさん並んだものすごく広い控室があった。