二人
初対面の人にいきなりそう言われて、腹が立たない奴がいるだろうか?
俺は久し振りにふつふつと怒りが込み上げ、いつの間にか怒鳴り返していた。
「何でクズなんて見た目だけでわかんだよ?あんた、俺の心ん中見えんだ。すごいですねっ!!」
俺がそうイヤミっぽく言うと、彼女は俺をキッと睨み付けた。
「あんたたちはどうせ沙莉と同じ。愛のお父さんにきつく言われてしまったら、もう愛には連絡しないんでしょう?愛の前からいなくなってしまうのでしょう?傷つくのは愛なのに」
そう彼女が言うと、俺に抱き付いていた愛の腕がさっきよりきつく締め付け始めた。
何か言いたげな行動だった。
そして俺は思い出した。
愛と出会った日に聞いた、愛の友達の話を。
「お菓子と紅茶、持ってきたわよ」
まだ俺らがピリピリしている時に、それを一時和らげるように垣野さんが部屋に入ってきたのだった。