二人
垣野さんは俺たちを部屋の真ん中にあるソファに座らせ、紅茶とショートケーキを出してくれた。
俺たちがまたピリピリし始めると、垣野さんはすぐに気付き、
「喧嘩でもしたの?」
俺と京、そして反対側に座る奴を交互に見た。
「いや、喧嘩っていうか…」
「だってこの人達、どうせ沙莉みたいになるのよ?それなら最初から切り離した方がいいと思わない?」
そう奴は言い切って、俺をギロリとにらんだ。
綺麗な顔をしているから、余計に怖いのは気のせいだろうか…?
「そりゃ、沙莉ちゃんは連絡をあれからしてくれていないけれど、まだくれないとは限らないでしょ?それに大樹くんたちをまだちゃんと知らないのに、そう決め付けちゃダメじゃない?」
「でも傷つくのは愛だよ?」
「"傷つく"とか"傷つかない"とか、そういうのって、本人が決めることだろ?本人がそうしたかったら、本人がそうするし」
一番の正論を言ったのは、俺の隣りに座る、京だった。
さすがだ、京。