二人
俺らは薫とアドレスを交換してから、愛にも一応聞いてみた。
電話くらいならできるし。
「愛、お前、携帯は?」
俺が愛に聞くと、ポケットから電話の機能しかついていない携帯が出てきた。
俺がそれをとると、少し迷った表情をした愛。
それでも俺がそれに俺の番号を送ろうとすると、薫が止めた。
「待って!!普通に名前も送っちゃダメ。私の名前のとこに番号打ち込んで。愛の携帯、お父さんに夜は預けなきゃいけないの。見られちゃうよ」
そして薫は慣れた手つきで愛の携帯を操作した。
そこに俺の番号を打ち込んだ。
「じゃあ、また会ってください!!薫ちゃん!!」
「分かってる、分かってる。メールするから」
京が薫に抱き付きそうだったから、すぐに襟をつかんで止めた。
「またな」
俺は愛の頭を撫でた。
愛は優しい笑顔を見せてくれた。
俺らは愛の部屋のドアを開けて、帰ろうとした。