二人
「まず誰なのか名乗ってもらおうか?」
そう言って俺らに近付いてきた。
「鈴鹿大樹と安澤京です」
「華池学園の生徒のようだな。その見た目といい、態度といい…。今日は何をしに来た?」
まだ優しい口調だが、顔は引きつっている。
「愛さんに会いに来たんです」
「何のために?」
「ぶつかって池に愛さんを落としてしまったのを謝りに」
愛が俺に会いたがっていたなんて言えるわけがない。
俺だけでなく、愛にも迷惑をかけてしまう。
愛の父親は段々と頭に血がのぼっているのが分かる。
そんな父親が愛の握る携帯に気付いた。