二人

「ちょっと貸しなさい!!」



そう言って父親は愛の手から携帯を奪い取り、携帯を操作し始めた。
そして何か気付いたらしい。
薫に携帯を貸すように命じた。



「この番号、愛のには薫ちゃんの名前で入ってるけど、薫ちゃんのには鈴鹿大樹で入っている。どういうことかな、薫ちゃん?」



「そ、それは…」



「俺がやったんだよ。父親がうるさそうだったからな!!」



どうせ俺は怒られること。
そしたら全て罪は被ってしまった方がいいと思う。



「お前は愛にそんなに近付きたかったのか」



俺は父親に襟をつかまれ、壁に押さえ付けられた。



「私はなぁ、お前みたいな不良で、マナーを全く知らない、品のない奴は大嫌いなんだよ。永久追放でもしたいくらいだ。もう愛には関わるな!!」



そして父親は『おい』と外に立っていたボディガードのような男を呼び、俺と京の腕をつかみ、引っ張っていった。

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