二人

9月29日、午後3時。
俺たちが出会った公園で待ち合わせ。



俺は授業が終わるとすぐに教室を飛び出した。

美波も最近諦めたらしく、何も言ってこない。



俺が待ち合わせ場所に着くと、もうすでに愛と垣野さんが待っていた。



「じゃあ大樹くん、よろしくね。私はあそこの喫茶店にいるから、帰りはそこに来てくれる?」



垣野さんは待ち合わせ場所のすぐ目の前にある喫茶店を指差し、そしてそこへ入っていった。



「じゃあ…行こっか」



俺が歩き出そうとすると、愛は俺の腕をとり、俺の手の平を空に向け、そこに何やら字を書き始めた。



「…テ…ツ…ナ…イ…デ…!」



俺は体の中から熱くなるのが分かった。
美波とも手はつないだことあるよ。
でも、こんなに緊張するのは何でだろう?


クソ親父に見つかったらどうしようっていう不安か?


いや、違う。



―多分相手が愛だからだ。

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