二人

俺は顔を真っ赤にして、



「…ん」



と手を差し出し、愛の手を握り締めた。



「じゃあ今度こそ行くぞ」



俺は愛の手を引っ張って歩き出した。


でも何を話していいか分からず(手を繋いでて他のことに頭がまわらないんだ)、無言のまま池の周りをただひたすら歩いた。



そうやっているうちに、俺の頭は冷静になってきた。

そしてふと思う。



「俺、今ここ何周した?」



やってしまった!と思って俺はしゃがみ込む。
それに引っ張られた愛もしゃがみ込む。



「愛ごめん、ほんとごめん!!疲れたよな?」



俺が焦りながらそう言うと、愛はにっこり笑って首を横に振った。

俺はその表情を見てほっとして、更に脱力した。

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