二人

取り敢えず、近くのベンチに愛を座らせ、俺の潰れた薄い鞄から、薄い財布を取り出した。



「飲み物おごるよ。何がいい?オレンジジュースか、紅茶か、コーヒーか…」



俺が愛に問い掛けると、首を横にブンブンと振る。



「いらないの?」



そう聞くと愛が大事そうに持っていた鞄を探り出した。
俺はその様子を見つめていた。

すると大きな水筒と箱が出てきた。


箱には紙がついていた。
愛がその紙を差し出すので読んでみた。



『クッキーだよ 食べてね』



愛はゆっくり丁寧に袋を開け、そこからクッキーを取り出して、俺に食べさせてくれた。



「うまっ!」



今までにないくらい美味かった。
美味いって有名な菓子会社より美味い!


あれかな、愛情がこもってるってやつ?

すごく俺は嬉しかった。

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