二人
「愛、ごめんな。あいつ、最低だな…」
美波が帰っていって、俺が話しかけても、愛は無反応だった。
まるで死んでしまった人のように動かない。
その愛の表情や行動から、愛が完全に怒っていることを感じた。
いつも微笑んでいて優しい愛。
でも美波のせいで…。
「俺、美波に愛は何も悪くないと言っとくよ。…今日はもう帰ろう?」
俺は愛の手を握って、垣野さんの待つ喫茶店に向かおうとした。
すると愛は、握った手を振り払い、俺の胸に飛び込んだ。