月姫の祈り
(2)
『桜、その能力をあまり使ってはいけないよ』
子供の頃。ある日、お父さんとお母さんに言われた。
私は何でか分からなくて「なんで?なんで?」って聞いた。
だって、この能力は何の取り柄もない私に神様がくれた素敵な能力。
大好きな里のみんなを助けられる能力なんだよ?
ーーでも。
能力を使えば使うほど。強力な願いを叶えれば叶えれるほど……。
いつしか私に向けられる視線が変わっていく事に、気付いてた。
『いつかあの子の能力が、この里を滅ぼしかねんーー』
……だから。
私はあまり外へは出ずに、部屋にこもっている事が多くなったんだ。
……
…………。