月姫の祈り
「心配すんなよ。俺がお前の分までバッチリ稼いでくるからさ!
今は、元気になる事だけ考えてろ」
しゅん、としながら布団で横になる私の頭を、月の左手がフワッと撫でてくれる。大きくて暖かい、大好きな掌。
月は右手よりも左手の方が器用な、人と違う個性を持ってるんだ。何度も何度も、私の手を引いてくれた、私の心を救ってくれた彼の手。愛おしくてたまらない。
熱のせいもあって、甘えたくなる。私は思わず、その左手を自分の手で取って、頬をすり寄せた。
すると、月がバッと私から顔を背けて、右手で自分の口元を押さえる。
「?……月?」
その行動に、どうしたのかな?って視線を向けて驚く。
彼が、耳まで顔を真っ赤に染めていたからだ。
嘘っ、月が……照れてる?
それは、初めて見た彼の姿。