月姫の祈り

「じゃ、っ……じゃあ、俺ッ、仕事してくるからっ。ちゃ、ちゃんと休んでろよっ」

明らかに動揺した声。
(げつ)はゆっくり私から左手を解くと、顔を合わせないまま部屋を出て行った。


シンッと静まり返った部屋の中。
彼の後ろ姿を見送った私の心臓は、今までにないくらい暴れていた。
今すぐ布団から飛び出して、自分の気持ちを言いたい。そして、(げつ)の気持ちを聞きたい。

私、自惚れていいの?
(げつ)も、私を好きだって思ってもいいの?

叫びたいくらいの想いーー。

けれど、愛おしすぎて……。
行動よりも、言葉よりも先に、私の瞳から涙が溢れてしまっていた。

この想いを、どう表したらいいんだろう?
どう、伝えたらいいんだろう?

言葉が見付からない。
伝え方も、見付からない。

そんな事も分からないくらい、私は(げつ)の事が大好きでした。
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