月姫の祈り
第2章
(1)
私達が泊まった宿屋の御主人や町の人達は、とても良くしてくれた。
この町にはまだ異人や王様の息がかかっておらず、地元の人達との穏やかな日々。
月は、持ち前の明るさと人柄で町の人から頼りにされて、あっと言う間に馴染んじゃって……。
彼の持つ不思議な魅力は、人を惹きつける。そう改めて実感した。
私も体調が回復してから、宿屋の仕事を手伝ったり、料理をしたり……。
順調に、新たな地に出発するお金も貯まっていった。
……そして、この町に来て一週間経った頃。
満月の夜が、やって来た。