月姫の祈り
***
「わぁ~!見て、月!綺麗だね~」
港町の砂浜を散歩しながら、私は夜空に浮かぶ満月を見上げた。
私達の里があった森から見上げる満月も良かったが、海の上に浮かんでいるような砂浜から見上げる満月もまた良い。
ーーいや。
それはきっと、好きな人と一緒に見上げているからに違いなかった。
いつだって、傍に居てくれた。
満月に祈る夜も、いつも傍で見守ってくれていた。
だから、今夜は、貴方が主役ーー。
「さっ、月。約束通り、貴方の願いを教えて?」
「……本当に、何でもいいの?」
首を少し傾けて、目を細めて、意地悪そうな笑顔で尋ねてくる彼。
私は「もちろん!」と笑顔で頷いた。
私はきっと、彼の願いなら、何でもよかった。
お金でも、力でも、彼が望むならどんな悪事にも手を貸していただろう。
ーーでも。
月は目の前で片膝を着いて、そっと私の左手を取ると、見上げながら言った。
「わぁ~!見て、月!綺麗だね~」
港町の砂浜を散歩しながら、私は夜空に浮かぶ満月を見上げた。
私達の里があった森から見上げる満月も良かったが、海の上に浮かんでいるような砂浜から見上げる満月もまた良い。
ーーいや。
それはきっと、好きな人と一緒に見上げているからに違いなかった。
いつだって、傍に居てくれた。
満月に祈る夜も、いつも傍で見守ってくれていた。
だから、今夜は、貴方が主役ーー。
「さっ、月。約束通り、貴方の願いを教えて?」
「……本当に、何でもいいの?」
首を少し傾けて、目を細めて、意地悪そうな笑顔で尋ねてくる彼。
私は「もちろん!」と笑顔で頷いた。
私はきっと、彼の願いなら、何でもよかった。
お金でも、力でも、彼が望むならどんな悪事にも手を貸していただろう。
ーーでも。
月は目の前で片膝を着いて、そっと私の左手を取ると、見上げながら言った。