月姫の祈り

昔々ーー。
この世界のとある場所に、とてもとても大きな国がありました。
その大きな国には、当然大きくて立派なお城。大きくて賑やかな城下街。
緑溢れる土地に、華やかで豊かな暮らし。強大な武力と兵力で、戦では負け知らず。

それは、誰もが羨む平和な国。

……。

私の名は(おう)、18歳。
二週間程前に故郷の里から引き離されて、私は明日、この国の王様の妃になる。
王族でもない、なんの教養も礼儀も知らない。何処にでも居そうな黒髪に黒い瞳の、特別見目麗しい訳でもない私が……。

満月の夜に、夢を叶える事が出来るーー。

そんな、不思議な力を持って生まれて来てしまったから……。
< 2 / 42 >

この作品をシェア

pagetop