月姫の祈り
***
私達の周りには、何もなくなった。
私と月だけ別空間に切り取られたみたいに、優しい光に包まれている。
ここは、二人だけの世界ーー。
やっと辿り着けた、誰にも邪魔されない、私と月の場所。
「……夢が、叶ったね?」
ポツリと呟いたその言葉に、返事はない。
すっかり冷え切った月の身体。
身体はここにあるのに、いない。
月は、もう、いないーー。
『ずっと俺の傍で、微笑っていて下さい』
ーーダメ、微笑えない。
もう、絶対に笑顔になれない。
「っ……たす、けて」
これが最後でいい。
この願いが叶うなら、もう満月の能力なんていらない。
引っ込み思案で、ドジで、泣き虫でいい。
特別な力なんていらないから……。
「っ……月を、ッ……助けてッ!!」
愛おしい人の亡骸をギュッと抱き締めながら、空を見上げた。
……でも、そこに満月はない。
もう、何も、私にはない。
私達の周りには、何もなくなった。
私と月だけ別空間に切り取られたみたいに、優しい光に包まれている。
ここは、二人だけの世界ーー。
やっと辿り着けた、誰にも邪魔されない、私と月の場所。
「……夢が、叶ったね?」
ポツリと呟いたその言葉に、返事はない。
すっかり冷え切った月の身体。
身体はここにあるのに、いない。
月は、もう、いないーー。
『ずっと俺の傍で、微笑っていて下さい』
ーーダメ、微笑えない。
もう、絶対に笑顔になれない。
「っ……たす、けて」
これが最後でいい。
この願いが叶うなら、もう満月の能力なんていらない。
引っ込み思案で、ドジで、泣き虫でいい。
特別な力なんていらないから……。
「っ……月を、ッ……助けてッ!!」
愛おしい人の亡骸をギュッと抱き締めながら、空を見上げた。
……でも、そこに満月はない。
もう、何も、私にはない。