月姫の祈り
利き手は、変わっちゃうのかな?
首を少し傾けて、目を細めて微笑む、あの意地悪そうな笑顔は?
照れた時に、口元を隠すクセは?
……
……女の子の好みは、変わってしまうの?
私みたいに、引っ込み思案で、ドジで、泣き虫で……。地味な、黒髪に黒い瞳の女の子じゃなくて、強くてかっこいい、容姿端麗な女の子に、惹かれちゃうのかな?
「……。
っ……それで、いいッ。それでいいからね、っ……月ッ」
目を開いて、彼の顔を見て、私は微笑った。
「幸せに、なって?っ……出来れば、今度はもう少しだけ贅沢になって?ねっ?」
本音を呟いている筈なのに、胸を直接叩かれているみたいに痛い。
今にも溢れそうな涙を抑え込んで、私は月の左手の薬指に口付けて祈ったーー。
満月の能力を解放すると、月の身体が白金色の光に包まれて……。その光は、私の両手で包み込めるくらいの大きさになった。