月姫の祈り
「確かに、世間一般的には最高の人生になるのかもな?
……でも、俺はそうは思わない。俺の幸せを、お前達が勝手に決めんな!」
そう言い放った俺の心の中には、この手で幸せにしてやれなかった一人の少女が居た。
桜ーー。
あいつが笑顔でいられるように、ずっとずっと護ってやりたかったのに……!!
聞いたところによると、不慮の事故とはいえ人の命を奪ってしまった桜が来世へ生まれ変われる可能性は極めて低い。
あいつが未来への扉を築く事が出来るのにはかなりの年月がかかり、その上仮に生まれ変われたとしても困難な人生。
前世で縁のあった人物と交わる事は、運命の神によって遮られてしまうらしい……。
ーーけど、俺は納得がいかない。
桜は今まで、その能力で里のみんなを幸せにしてきたじゃねぇか!
里のみんなに恐れられても、自らを孤独に追い込んでも……。あいつは、みんなの願いを叶え続けたんだ。