月姫の祈り
それが、たった一度の過ちであんまりだ!
もし、あの時に撃たれていたのが桜だったら……。俺だってあの場にいた奴等、全員皆殺しにしていただろう。
それなのに、あいつだけが罪を背負うなんてそんなの理不尽だ!
桜が幸せになれない未来が無いなんて、間違ってるーー。
だから、俺は駄々を捏ね続けた。
月としての器を失ったあの時。すぐに生まれ変わる事はせずに、桜が生まれ変わる可能性が出てくるまで待ち続けた。
ーーけど、それももう限界らしい。
生まれ変わるには色々と厄介な細かい決まりみたいなものがあるみたいで、今回の機会を逃すと俺が来世へと生まれ変われる道が閉ざされてしまう。
だから、俺は今目の前にある扉を潜る事に決めた。
この先にある来世だけが、唯一、生まれ変わる桜と逢える可能性がある道だから。