エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「……悪いな。こういう、サプライズ的なものがスマートに決まらなくて」
ばつが悪そうに首の後ろを撫でる津雲さん。その不器用さこそが私をキュンとさせていることに、彼は気づいていないんだろうな。
「いいえ。この指輪には、津雲さんの愛情がたっぷり籠められているんだって、よくわかりました。私、幸せです」
「和香菜……」
にっこり微笑みかけると、津雲さんが眩しいものを見るように目を細め、傾けた顔をゆっくり近づけてくる。
キスの合図だと理解して、甘い気持ちで目を閉じた、その時。リビングに置きっぱなしになっていた私のバッグの中から、スマホの振動音がした。
津雲さんがぴたりと動きを止め、音のする方に首を動かす。
「電話か?」
「そうみたいです……すみません」
せっかくいい雰囲気だったのにな……。電話をかけてきた相手を少々恨みつつ、バッグの中からスマホを出す。表示されていたのは知らない電話番号だった。
あっ。もしかして……。
ひとりの人物の顔が頭に浮かび、私はつい津雲さんの方を振り返る。彼はキッチンに戻って、朝ご飯の支度を進めているようだった。