エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
まだ三船さんからの電話だと決まったわけじゃないけど、そうだったらきっと津雲さんを嫌な気持ちにさせちゃうよね……。
私はさりげなく窓辺に移動し、静かに窓を開けてバルコニーに出てから電話に応答した。風が冷たくて身震いするが、スマホを持つ手には変な汗が滲んでいる。
「はい、もしもし」
『もしもし、その声は和香菜ちゃんだね? 俺、三船です』
やっぱり……。予想通りの展開とはいえ、お見合いを断らねばというプレッシャーに、胸が圧迫される。
「お久しぶりです。あけましておめでとうございます」
『あけおめ~。ところで、お母さんから見合いの話聞いた?』
き、来た……! 私はごくりとつばを飲み込んで、用意していた言葉を口にする。
「はい。まさか、うちの母と三船さんのお母様が知り合いだったとは驚きました。親同士で勝手に盛り上がられて、三船さんも困ったでしょう? 私のこと悪く言ってもらって全然かまわないので、一度会ったけど好みじゃなかったとか、話が合わなかったとかそういうことにして、お見合いは失敗に終わったことにしましょう? ねっ。それがいいですよ」