エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
弁護士の三船さんと、検察事務官の私。確かに、嘘や矛盾を許してはいけない立場の職業ではあるけれど。それとこれとは別の話ではないだろうか。
「そりゃ、まぁ……。でも今回のことは、私たちの方が親に振り回された形ですから、嘘も方便じゃないですか?」
『そんなに俺と会うのが嫌?』
寂しげな声音で尋ねられ、ぐ、と言葉に詰まる。
この人、わざとこちらが否定できないような聞き方をしてるよね……?
「……別にそういうわけでは」
だからって、会いたいわけでもないですけど。
『なら会ってよ。一度、食事をするだけ。ね? そしたら俺も、母親にちゃんと〝和香菜さんには振られました〟って報告するから』
私は心の中で盛大にため息をついた。きっと、三船さんは私がうんと言うまで折れないつもりなのだろう。どうしよう、もうハッキリ言うしかないかな。
私は意を決して、大きく息を吸った。
「あの……! 今私、津雲さんと結婚を前提にお付き合いしてるんです。だから、彼が嫌がることはしたくありません。ごめんなさい!」