エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

『で、どうするの?』

 完全に勝利を確信した調子で、三船さんが問いかけてくる。私は津雲さんばりに眉間にしわを寄せ、泣く泣く白旗を上げた。

「……一度、食事をする〝だけ〟でいいんですね?」
『ありがと。なんか無理やりでごめんね。じゃ、これから仕事だからまた改めて連絡する』

 せめてもの抵抗で『だけ』を強調したつもりだったのに、三船さんは完全にスルーしてあっさり電話を切ってしまった。

 なんか、どっと疲れた……。もう、次の連絡が来るまで、彼のことは頭から追い出そう……。


 バルコニーから部屋の中に戻ると、ダイニングテーブルに美味しそうな朝食が並んでいた。

 さっき津雲さんが焼いていた鶏肉の味噌漬けに、ご飯、お味噌汁、白菜のお浸し、温泉卵。そういえば、彼の朝ご飯は和食が多いと言っていたっけ。

「おいしそう……」
「大したものじゃないけどな」

 キッチンから出てきた津雲さんがそう言って、私の椅子を引いてくれる。

< 106 / 166 >

この作品をシェア

pagetop