エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
愛しい婚約者――side大雅

 風邪をひいて寝込んだ金曜の夜から、俺と和香菜の距離は一気に縮まった。

 彼女の甲斐甲斐しい看病のおかげで元気になった俺は、年末からずっと渡すタイミングを見計らっていたプロポーズリングを贈り、これからはできるだけ、愛情を伝える努力をしようと決めた。

 愛情表現は正直なところ苦手ではあるが、和香菜なら、たとえ伝え方を失敗したとしても、その裏にある俺の想いを汲んでくれると信じて。


 そして迎えた彼女との週末。

 もともとマンションでのんびり過ごそうという約束だったし、俺は病み上がりの身。というわけで、一度和香菜の自宅に着替えなどを取りに行った後、散歩がてら近所で買い物をした他は、ずっと自宅でレンタルDVDの映画やドラマを観ていた。

 その最中、ソファに並んで座る彼女をちらちらと見ては、肩を抱くか抱くまいか……などと悩んでいたため、DVDの内容はあまり覚えていない。

 しかし、肩を抱くことには無事成功し、その時の和香菜のはにかんだ笑顔を見ただけで、たまらない幸福感で胸が満たされた。

 俺はその成功体験に味をしめ、どんどん積極的になっていく。

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