エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
危うく、大切に抱きたいという決意が吹っ飛んで襲い掛かりそうになったが、なんとか理性を保って立ち上がる。
「ああ。じゃ、入ってくる。適当にくつろいでて」
「はーい」
無表情で彼女の前から去り、寝室から着替えを出して脱衣所に入ると、俺は一度深呼吸をし、自分に言い聞かせるようにつぶやく。
「ゆっくり、優しく、大切に……だぞ」
しかし、理性と本能はアンバランスにぐらぐら揺れていて、なにかの拍子にあっけなく理性が負けるような、危うい気配がしていた。
今にも火がつきそうな体を鎮めたくて、冬だというのにぬるいシャワーを浴びた。が、たいした効果は得られず、結局危うい俺のままだ。
リビングに戻ると、さっきと同じソファにいる和香菜は思いつめたような顔でテレビを睨んでいた。
いったいどんな番組を見ているのかと背後にまわると、映っているのはバラエティーのトーク番組。明らかに、そんな難しい顔で見る番組ではない。
「考え事か?」
「えっ?」
声を掛けるまで、俺が近くにいることにも気づいてなかったらしい。俺の顔を見た彼女は目を見開き、それから気まずそうに目を伏せる。
「いえ、別になにも……」