エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
彼女はそう言ってごまかそうとするが、どう見てもなにもないという感じではない。俺は彼女のすぐ隣に腰掛け、俯く彼女の顔を覗く。
「俺の前で嘘をついて、逃げられた被疑者がいたか?」
「……いません、ね」
「じゃ、観念して話せ。もし、俺のことで気に食わないことがあるんだとしても、正直に言ってもらったほうがいい。直せるものなら直すし」
「そんなんじゃありません! ただ、私はその……」
和香菜はせわしなく視線を泳がせ、なんと言おうか迷っているようだった。
気長に彼女の言葉を待っていると、やがて和香菜の口から蚊の鳴くような声が発せられる。
「き、緊張……してるだけです」
言ったそばから和香菜の頬がじわじわ赤く染まり、彼女がなにに緊張しているのか察しがついた。
二度目の夜に色々期待したり、不安だったりするのは、俺だけじゃなかったんだな……。
素直に打ち明けてくれた和香菜に応えるように、自分も胸の内を告白する。
「大丈夫だ。俺も緊張してる」
手を伸ばして、和香菜の髪を撫でる。そのまま彼女の頭を優しく引き寄せ、耳もとに唇を寄せてささやいた。
「それでも和香菜が欲しい」