エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「なんだ、気持ちが悪い」
「いや、津雲って案外俺のこと認めてくれてんだなぁって」

 やけにうれしそう様子が気に食わないが、この男を弁護士として認めているのは事実だ。

 三船は検事を辞めた後、名の売れた大手事務所ではなく、社会的弱者の救済をうたう小さな法律事務所に所属し、そこで破格の安さで依頼や相談を受けているのだ。

 金儲けに走る弁護士も決して少なくはない中で、その行動は立派だと思うし、尊敬もする。

 ……しかし、それはそれ、これはこれだ。

「あくまで仕事の面でだけだ。お前の女癖の悪さは犯罪級だともっぱらの噂だし、今日、和香菜を誘ったことに関しては、極刑を免れないと思っている」

「こわっ。和香菜ちゃんにはフラれたって言ってんじゃん。……ま、仕事のこと認めてくれてるってだけでありがたいわ。例の件で誰をかばってるのかってことは、口が裂けても言えないけどさ。津雲が俺を無実だと思ってくれてるってだけで救われるよ」

「……そうか」

 三船との会話はそこで途切れ、俺は和香菜の身を案じながら、車窓を流れる夜の街並みを睨むのだった。

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